マンノン語り

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国際子ども図書館「イングラムコレクション」と児童文学

2012.07.18 Wednesday 19:32
 2011年10月8日に行われた「イングラムコレクションの愉しみ」という
講演会に行ってました。だいぶ時間経ってますが、少しまとめておこうかと思います。

講師は青山学院大学名誉教授の神宮輝夫氏。国際子ども図書館のコレクション
の研究とかもされてるそうです。貴重な本も蔵書の中にあり閉架式ですが
一般の人も閲覧できるとかなんとか。資料としてあげられたものもコレクション
なので頼めば見せてもらえるようでした(ただし英語だと思います)

イングラムコレクションの名の通り、イギリスでの児童文学の流れを講演して
いました。

18世紀初めに萌芽が見え始め、最初のものは教育的な内容が多かったようです。
教育、教訓が第一でエンターティメント性は低く、楽しいものと言うよりも
〜しなければいけないよ、という教えのものが多かったのだと思います。

The Governess, or a Little Female Academy 『少女のための小さな塾』
セアラ・フィールディング 1745

Some Thoughts concerning Education 『教育論』 ジョン・ロック 1799

などなど。

その後は家庭的なものを題材にした話なども流行したそうです。

The Heir of Redclffe 『レドクリフの世継ぎ』シャーロット・メアリ・ヤング 1855
Six to Sixteen 『六歳から十六歳まで』ジュリアナ・ホレイショ・ユーイング 1875
Carved Lion 『彫刻のライオン』メアリ・ルイザ・モルズワス 1895

女性向け家庭小説で当時のベストセラーとなっていたそうです。
資料にはなかったものの講師の神宮さんが名前をあげていたのが
「かっこう時計」「お城の子供達」

また日常に魔法を取り入れた最初の人だそうです。
(メアリ・ルイザ・モルズワスさんかな?ちょっと記憶があいまいです)

19世紀になると冒険小説が出てきます。これらは男の子向けとして多いに受けました。

15〜16世紀。スペインの方でピカレスク(悪漢小説)が流行っていて
それが取り入れられたのが小説の始まりだそうです。そこから冒険小説、
そして現在でも有名な宝島などへと受け継がれていきました。

それからこれは私がたまたま知ったものですが、スペインの方で流行った
ピカレスクものの原型は中世アラブに伝わる「マカーマート」と呼ばれる
話だそうで。この話ができたのは12世紀。作者のアル・ハリーリーも
著名な人として認識されてたそうです。知識人のたしなみとして読まれていたとか。
訳者の人によると副題として考えられるのは「騙しの長老アブー・ザイド行状記」
悪の美学的なものがアラブで作られ、それがスペインに渡り、そしてイギリス
に渡っていった、ということなのだと思います。

The Life and adventures of Robinson Crusoe『ロビンソン・クルーソー』
ダニエル・デフォー 1719

The last of the Mohicans『モヒカン族の最後』j・f・クーパー 1826

W.H.G.キングストン は作品が多量で G.A.ヘンティ は話がうまい、そうです。

というわけでイングラムコレクションの話でした。わき道の話として語られて
いたのは「最近の児童文学は面白くない」というのがありました。昔のが
面白いというのは私もちょっと感じていたことでもあります。

今に無くて昔にあったもの、それが何かがわかれば面白いものの正体が
わかるような気もしますが、具体的なことについては話されてなかったので
よくわかりません。ただ今にあって昔にはないものも確実にあるような気
はするので、そういうものを見つけることができるなら、現代でも面白いと
思える話ができるのではないかと思います。

イングラムコレクションとは別に「日本の子どもの文学」というのも見てきました。

日本の場合は明治ごろから少年のための文学が作られていたそうで、その後
大正デモクラシーの中で大きく花開くことになったようです。その後戦争が
あり、終戦後、現在と続くようです。

なかでも大正期のものは超一流の芸術家も参加し、質の高い文学を提供
していたように思います。これは日本の質を高めるため世界各地に渡った
文化人達が現地の子供に対する思想を吸収し、日本にもその流れを作ろう
とした結果だと思います。

鈴木三重吉の主催した「赤い鳥」、絵雑誌の「コドモノクニ」は今見ても
面白いものだと思います。コドモノクニでは北原白秋が数多くの童謡も
発表しており、今でも歌われてるものが多いです。

国際子ども図書館
http://www.kodomo.go.jp/

ここの絵本ギャラリーという所でコドモノクニの一部も見れます。
著者名からの検索で北原白秋と入れるとずらずら〜っとならぶので
色々見れます。アメフリとかは一度は聞いてるはずです。

個人的には「夏の砂山」とか面白いと思います。
夏だ  おい   とても 愉快だ
かけろ かけろ  海が  鳴ってる
(以下略)

かっこ書きの注意で(コレハオカアサマニヨンデイタダクノデス)
がよくわからなくて謎です。

というわけで国際子ども図書館の講演会とイベントでした。
「日本の子どもの文学」は本の展示もしてありました。時代によって
作られるものが違ってくるのがわかって面白いかもしれず。子供は理解力が
ないから短編で簡単なものでなければならない、という考えから子供でも
きちんと読み聞かせられると児童向けの長編なども作られたりと時代によって
考え方も色々出てきてるようでした。現代ならどういうものが最適なのか?は
作る人、読む人が考えていくものではないかと思います。

(´д`) <児童文学って本当にいいものですね!(映画風に)

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国際子ども図書館の講演会

2010.06.27 Sunday 00:48
ミクシィで書いた日記の転載です。

というわけで行って来ました。国際子ども図書館で行われた「日本発☆子どもの本海を渡る」
というもので児童文学作家の角野栄子さん、台湾事情にくわしいショウ・イーフンさん、
それと令丈ヒロ子さん(YA系作家)の3人による講演会でした。

(´д`) <国際子ども図書館のメールマガジンで知りました(今年から始まった)

応募者多数の場合は抽選になるとのことで、まぁダメもとで申し込んでみようかなぁと
送ったら当たったようでした。抽選の結果当選しました、みたいなこと書いてあったので
人数はそこそこいたのかもしれない。

(´∀`) <じゃぁ行きますか!(角野栄子さんは魔女の宅急便の人)

今日は物凄く蒸し暑くて、図書館行くまでに汗だくに。エレベーター使わず階段で
上がったのでさらにヒートしてしまったかもしれない。子ども図書館は建物が恐るべき
立派さだったりするので、来ると階段上りたくなってしまうのであった。

来ていた人たちは9割は女の人でした。というか九分九厘というか。男の人確認できた
のは数人だったしな。なんとなく主婦のおっかけグループのような気もしたがどう
なんだろか。まぁでもこんなもんなのかも知れない。

お話は一人30分で3人ともきっちり時間通りだったようです。私の中では角野さんの
話が一番面白かったです。魔女についての話をからめ、ルーマニアを旅した時のことを
話されていました。話がうまいな、と思ったのは合間合間にジョーク的なエピソードを
はさんで話したり。海外各国で翻訳されている魔女の宅急便だけど、スウェーデンや
カナダの表紙は気に入らない、と言ってました。どうやら魔女自体がタブー視される
ため、可愛くしないで不細工で怖い感じにわざとしてたそうです。まぁそういうお国柄に
よる価値観の違いとか、魔女の由来、アニミズム的なことなどを、日常の生活の話
ともからめながら話したりしてました。去年魔女の宅急便の6巻目でシリーズ終了
したニュースは私も知っていたので、これを機に読んでみようかなと思っています。

しかし驚くべきはその年齢。プロフィールによると今年75歳のようなのですが、話
の巧みさ、聞きやすさは素晴らしいものがありました。最後におっしゃっていましたが
やはり物作りはケンコーが一番だそうです。納得。

あとのお二方の話も興味深いものでした。台湾の文学事情とかそうとは知れないしな。
どうやら向こうの児童文学作家さんというのは、ほぼすべて学校の先生が書くもの
なんだそうです。職業作家とかはないのかもしれない。国によって文学事情というのは
色々違うものなのかもしれません。

令丈ヒロ子さんは台湾で出版するに当たって取材旅行をした時の話をされてました。
YA系というのは13〜18才くらいを対象にしたものだそうで。見た印象的には児童文学版
のライトノベルのような感じなんでしょうか。アニメ絵表紙なのも共通点ではあるな。

講演会というと質疑応答なんかでバリバリ挙手される印象があったのですが、質問
はほとんどなく。角野さんへの質問も無かったのですが、私が色々質問したいくらい
でありました。その時は気後れしてしまったので終わってしまったのですが。
もうちょっと児童文学について掘り下げてもらっても良かったかもしれない。

てなわけで講演会でした。今回が第一回だそうで、この後もまた別の地域のものを
題材にしてやるみたいです。次回はイギリスとか言ってたかな?たぶん秋になると
思うので狙えるならまた聞きに言ってみようかなと。

そういえば講演会聞いた後、資料見て回る人はほとんどいなかったな。私ぐらいの
ものだった。資料室ものぞいてきたのですが、角野さんの話にもちょこっと出ていた
スペイン語版と思われるものがあったのでちょっと見たりしてました。なんだけど
このバージョン、なぜかチラシの方では取り扱ってないんだよね。韓国版とか
ノルウェー版とかはあるのに。国際子ども図書館が主催してるなら自分の所の蔵書
くらいはカバーしてもらいたいもんだ、と思いました。

(´∀`) <挿絵は味がありました(スペイン語らしきものはもちろん読めません)

てなわけで講演会でした。この図書館自体に行くことがあまりないので、こういう
イベント利用して来るのも手なのかなと。見て回る時間は短くなってしまうが。
ちょうど今年で創立10周年だそうで、その関係でこういうイベントが企画されて
いるようです。10年前の創立当初も私は見に行ってましたが、その時は蔵書が
恐ろしく少なくて、こんなんで大丈夫なんかな、と心配したほどでした。今では
大分在庫も増えたようで立派になっています。

(´д`) <昔の第一資料室は今は事務室になってました(部屋大きい所に移ったらしい)

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