マンノン語り

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マヤ文明資料のいろいろ 1

2012.07.16 Monday 21:05
 前回の初心者向けの資料を書いたらすぐに書こうと思ってましたが遅れました。
今回は基本的な資料などを書いていきたいと思います。一度は読んだのですが
だいぶ時間経ってて忘れてしまってるかもしれないので間違いあったらご容赦
のほどを。

創元社 古代マヤ文明 著者・マイケル・D・コウ
訳 加藤奉建、長谷川悦夫

マヤ文明の研究者の中でもっとも有名人として上げられるのが、この本の
著者のマイケル・D・コウさんです。マヤ関係の本を調べてるとだいたいこの名前
を見かけるほどの有名人、かも知れず。研究者の間では「コウのマヤ第六版」として
知られるものです。日本語訳では初版以降されてなかったそうで、2003年版
のこの本が出るまでは日本語で読むことができないテキストでした。
最新の論文などは英語、またはスペイン語で書かれてるものがほとんどで
日本語テキストは基本的なものと言われるものも無いかもしれず。私のような
個人的なファン、書き物として調べる人には知りたくても知れないものでした。

訳者の加藤さんはコウのマヤ第一版を翻訳した関係でこの本も手がけることに
なったようです。共同訳者となってる長谷川さんは現場で活躍する考古学者で
マヤの知識の最先端の場にいる人ということで協力して訳されたようです。

初版から間が空いたのは色々なタイミングもあったようですが、加藤さん自身
が研究から身を引いていたからで、学術書にかぎらず本を出すというのは
色々と困難があり難しいものだと思います。日本語しか読めない自分には
大変ありがたく思います。

本の内容は第一章から第八章までは以前の版からのもので、そこから第十章まで
が追加されたもの。ただ昔書いたものも最新の学術調査にあわせて改訂されて
いるため、昔のものとはまるで別になってるそうです。

第一章 イントロダクション マヤの環境や歴史について
第二章 最古のマヤ 初期の生活や環境など
第三章 マヤ文明の隆盛 暦など
第四章 輝けるマヤ文明ー古典期前期 軍事大国テオティワカンなど
第五章 輝けるマヤ文明ー古典期後期 コパン・キリグア、ティカルなど
第六章 古典期終末期 大崩壊など
第七章 後古典期 トルテカ人の侵入とチチェン・イツァーなど
第八章 征服前夜におけるマヤ人の生活 畑仕事と狩り 産業と商業など
第九章 マヤ人の思考 神や大地、地下世界、精神世界など
第十章 永遠のマヤ 現代のマヤ人など

各ページには写真も添えられていて、中にはカラーで何ページかあります。
以前展覧会で見た現物の写真もありました(リンテル24)王と女王の石碑で
女王が舌に紐を通して瀉血しているものです。

マヤを調べるうえでは基本的なテキストと言ってもいいかもしれず。読みやすく
挿絵や写真も豊富なので古代文明ものが好きな人なら読みきれるかと思います。

新評論社 マヤ文明の興亡 著者 j・エリック・s・トンプソン
訳 青山和夫

古代マヤ文明のあとがきでも触れられている、日本の若き研究者として
あげられている青山和夫さんによるトンプソンの本の訳本。トンプソンは
古くからマヤ文明の研究をし、その成果を本にまとめ世界でも有名な人
となってました。しかしその研究成果は間違ったものも多く、それを
現代研究でわかったことを補足した上で詳細な注釈を入れたものとなっています。

昔のマヤ文明のイメージは、不思議で神秘的。よくわからないけどすごい文明。
などミステリーやオカルトなどを強調したようなイメージがついたのは
トンプソンの本によることが大きかったようです。もとより最初の研究者は
道楽で初めて、自分の考えこそがこの文明の真実!と声高らかに宣言したくて
やってた部分もあり、現在わかってるイメージとはだいぶ違うというのがありました。

しかしこういう間違ったイメージをひとつひとつ反証していくことで現代の
学説や研究は進歩してきたということです。トンプソン自身は博識で精力的
な人であったこともあって、当時その本を読んだ人は説得力の高さは折り紙つき
と考えてたのも無理はありません。

大切なのは常にそれは正しいのか?ということを検証すること。学問や学術は
それによって日々研鑽されているというのがよくわかるかもしれません。

2008年に刊行された本なので最新に近いものだと思います。何より日本語テキスト
なのがありがたいです。巻末には青山和夫さんによるまとめの部分もあり、この学問
がどういう歴史をたどってきたかがわかるようになってます。

なによりトンプソンの時代(1954年発行)にはわからなかったことが、現代に
なってどういうものかがわかってきている。トンプソンの本文の下に詳細な注釈として
載っているのが学問の進歩を垣間見るようで面白いです。

創元社 古代マヤ王歴代誌 著者 サイモン・マーティン ニコライ・クルーベ
監修者 中村誠一 訳 長谷川悦夫 徳江佐和子 野口雅樹

2002年発行のこの本は日本の研究者の中でも筆頭にあげられる中村誠一さんが
監修した本となっています。現在も現地で研究をしている第一人者と言っても
いいかもしれません。テレビでは世界不思議発見でも何度か出演されています。

私にとってマヤ文明はゲームの中が最初の出会いでした。チチェン・イツァを
舞台にした太陽の神殿というゲームでした。よくわかっていなかったマヤ文明
というものが、この本によってイメージとはまるで違うようなものだと
思わされたのでした。

日本の戦国時代を思わせるような国家の乱立と戦争。親族間による同盟。
強大な国が中小国を支配するなど神秘やミステリーとはかけ離れた現実的
な人間ドラマがあるというのは衝撃的でした。

中でも中部地域の歴史は国も多く、劇的なドラマも多いようで何があったのか
がすごく気になったものでした。石碑などからわかることも多いのですが
その石碑自体も解読が困難になってるものもあり、想像力を刺激される
のでした。

私が書いた「6の空の女王」は名前の正確な読み方が不明な女王であり、
女王自体が活躍するというのが極めて珍しいというのもあって強く心がひかれました。
この女王の時代は戦争が多く、残っている石碑から戦争の経過などが
わかる所も多いのですが、女王に関してはまだまだ謎が多いようです。

ドラマティックな展開を見せる戦争史がマヤにもあった、というのは
かなりの衝撃でした。実は6の空女王近辺の所は読んだのですが、他の部分は
まだ読めてません。書き物する時は女王以降の部分は参考にしないだろうと
そのままにしてました。補完がてら読んでいきたいと思ってます。

というわけで主要の3冊をあげてみました。創元社は色々本を出してるので
色々読んでみたいところです。先日アステカ文明の本も発見したのですが
後々買いにいこうと思ったら売切れてて残念でした。

グァテマラのマヤ文明とメキシコのアステカ文明は距離は離れていますが
お互いに影響を与えたと思われるものが多く、アステカの方も調べないと
なぁと思っていました。チチェン・イツァでも双方の文明が色濃く反映
されてるようです。

いくら調べてもわからないことが多いですが、少しずつでも理解できたらな
と思っています。

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マヤ文明の初心者向けや資料などについて

2012.05.31 Thursday 22:40
 というわけで久々の更新。今度マヤ文明ものの話を書こうかと思い、資料に
関してまとめておこうかと思います。人によって集め方も違うだろうし、何より
誰かに体系的に学んだわけではないので抜けがかなりあると思います。
これを読んでもしかしたらオススメの書籍など紹介してもらえたら、という狙い
もあります。

まず初めは基本と思われるもの、初心者向けと思われるものをチョイス。

古代マヤ・アステカ不可思議大全 柴崎みゆき

たぶん現在手に入る書籍の中で、初心者として読むにはこれ以上ないくらいの本
だと思います。流れがわかりやすく、マヤ・アステカに関する基本的なことが
わかります。何より特筆すべきは全てフリーハンドで書かれたものであること。
すべて手書きになってて、イラストなども添えられているのでとても読みやすい。
文字も手書きですが読みやすいと思います。何より硬い文章の学術書を読むのは
抵抗ありますが、砕けた表現も多いので読みやすいです。

300ページほどある本ですが、基本の資料なども紹介してくれているので
ここからそれらを拾うのも可能。もともとは「マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行」
という本も一冊で出す予定だったらしいですが、どちらも300ページほど
あるので本をわけたようです。こちらの紀行も同じく手書き風味の味のある本
で現地の模様などが詳しくわかるようになってます。紀行文好きな人ならいける
と思います。

ここからは基本と言うか元となる資料。色々な書籍の元ネタとなるものです。

マヤ神話 ポポル・ヴフ 林屋 永吉訳
A・レシーノス原訳 D・リベラ挿画

マヤ神話のポポル・ヴフの日本語訳版です。最初のページに書評があって
それを書いているのが三島由紀夫で驚きました。簡潔にして味わい深い文章で
マヤ神話が綴られています。キチェーと呼ばれる民族に伝わる神話で日本で言えば
古事記などに相当するものです。

創世神話、英雄譚などが主で、マヤ世界独特の登場人物が活躍します。
フンアフプーとイシュバランケーという双子の英雄の話で死者の国に行ったり
神を騙まし討ちにしたりするのですが、古事記などでもスサノオが
似たようなことをしてたりします。神話の場合国が違っても似たような話系
があるようで、それを体系付けたりするようです。

注釈も多くあり、読んでいくと理解が深まるとは思いますが、日本には
あまりなじみのない世界なのでなかなか理解するのは難しいかもしれません。
「ホリホリ、フキフキ」という、道具のすりこぎなどの擬音がちょっと
可愛いのが印象に残っています。

話としては語られて伝えられたものなので話として理解しやすく、物語が好き
な人なら読めると思います。

訳者あとがきにもありますが本来の名前は「ポポ・ヴフ」だそうで。ただ
現地でも「ポポル・ヴフ」で理解されてるので変えていないということだそうです。

マヤ神話 チラム・バラムの予言 望月 芳郎訳
ル・クレジオ原訳・序

マヤの神官達に伝わる伝承などを扱った本。予言というよりも王族のしきたりや
儀式のための手順や呪文、王と将来王となる者への継承儀式などを扱ったもの。
予言部分はカトゥンの予言と呼ばれるもので、この時期はこんなことが起こる
見たいな事が書かれています。

日本だと宮内庁行事のように一般にはあまり知られないような儀式が当たると
思います。理解するのは大変困難であり、書いてある文章がなにを表すのか?
など難解を極めるものとなっています。

当時としては常識だったのもが時代が下るに連れて意味を理解するものが
いなくなり、その当時のままの儀式だけが残り何を意味するのかわからなくなる。
こういうのは昔から続くものには多くあることかと思います。

これがさらに難解なのは、キリスト教の改宗を受けて書かれているものなので
所々でキリスト教的なものが差し込まれていることです。内容も理解しがたく
またそれが断片的なものが多いので、なかなか頭に入りませんでした。

前述のポポル・ヴフは話として読むことは出来るのですが、こちらは無理です。
よほどの物好きくらいしか読む本ではないと思います。ですがマヤの価値観
などがわかる部分もあります。王の権威はマットに象徴される、みたいな。

ソリタ ヌエバ・エスパニャ報告書
ランダ ユカタン事物記


大航海時代業書 と呼ばれるシリーズ本のひとつで第二期 13巻目
このうちのランダ ユカタン事物記の部分が侵略当時のマヤをそのまま
伝えるものとして知られているようです。

ランダというのは司祭でスペインから来て色々現地でひどいことしてる
のですが、当時の状況を伝えるものがこれくらいしかないので、これから
拾うより他はないようです。有名な焚書とかで全部なくなってしまったのが
悔やまれます。

この事物記は当時の権力者達に自分達はこんだけ働いているんだよ!
というのを証明するためのものだったろうと思います。

私はこれを手に入れたばかりでまだ読めていません。500ページを超える
大著なんで少しずつ読み進めていこうかと思います。

というわけでマヤの資料の話でした。私の場合基本もあまり知らないでの
乱読傾向だったのでまだまだ知らないことも多いですが(何より頭に入らない)
ちょこちょこやっていきたいと思います。

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